いきもの深夜便
熱帯魚の水合わせは、水質より水温。元ショップ店員が教える、失敗しない始め方
熱帯魚

熱帯魚の水合わせは、水質より水温。元ショップ店員が教える、失敗しない始め方

書いた人: 管理人(熱帯魚歴30年・元ショップ店員・元卸売業者)

先に結論

  • 水槽は、水を入れて1週間ほど置いてから魚を入れます。
  • 水合わせで大事なのは、水質よりも水温です。
  • 餌は少なめにして、数分で食べきる量にとどめます。

1. 水槽は1週間置いてから

新しい水槽は、水を入れてもすぐに魚を入れず、1週間ほど待ちます。フンや食べ残しを分解してくれるバクテリアが水槽の中で育つのを待つためですが、1週間では十分に増えず、安定するまでには2〜4週間かかると言われています。そのため、最初は魚を少なめに入れて、様子を見ながら増やしていきます。

早く立ち上げたいなら、ショップで水草を買うついでに、水槽の水を少しもらうのがおすすめです。水草は魚より先に入れられますし、もらった水にはバクテリアが少し入っているので立ち上がりが早くなります。バクテリアは水よりもろ材や底砂に多く住んでいるので、ろ材を少し分けてもらえるなら、さらに早くなります。2本目以降の水槽なら、1本目の水を少し入れるだけで簡単に立ち上がります。

ひとつ気をつけたいのは、ショップの水に貝の卵がついていることがある点です。あとから水槽に貝が増えて見た目が悪くなるので、気になる人は注意してください。

2. 水合わせは水質より水温

水合わせは時間をかけて丁寧に、とよく言われますが、ショップ店員と卸の仕事をしてきた私の考えは少し違います。多くの魚は水質の違いをそこまで気にしなくて大丈夫で、それよりも大事なのは水温の急な変化です。袋ごと水槽に30分ほど浮かべて、水温をそろえてから魚を入れます。

水槽の水を少しずつ袋に足していく「点滴法」が、丁寧な水合わせとして紹介されることがあります。私はやりません。時間がかかるわりに効果が薄く、水槽の外で行うので、袋の中の水温が下がってしまうからです。ショップや卸の現場でも使いませんでした。使うのは、淡水エイのような、本当に神経質な魚だけです。

私のやり方は、袋を浮かべて水温が合ったら、袋の口をあけて、水槽の水を適当に足すだけです。袋がプカーと浮いて、魚が水槽の様子を見ながら、自分のペースで出ていきます。先にいる魚たちが、新入りを品定めする様子を見れば、混泳できそうかのヒントにもなります。相性が悪そうなら、別の水槽に移します。

もちろん例外はあります。

### 袋の水は入れないほうが安全

袋の水をそのまま水槽に入れるのは、初心者にはおすすめしません。貝の卵がついていることがありますし、病原菌を持ち込む可能性もゼロではないからです。ただ、ショップの水の状態がいいなら、それだけいい魚を迎えられるということでもあります。その見極めができるようになったら袋の水を入れるかどうかは自分で決めて構いませんが、慣れないうちは魚だけを移しましょう。

### 魚は網より手

魚を水槽に移すとき、私は網を使わずに手で入れます。網は魚の体を傷つけやすいからで、小さな魚も手で入れています。本当に小さくて手では難しいときだけ網を使い、そのときは目の細かいものを選んでいます。魚用の網は、水面のゴミをすくう網とは分けています。

手は体温が高いので、先に水槽の水に手をつけて温度を慣らしてから魚をすくいます。石けんやハンドクリームが残っていない手で触るのも大事です。ただ、これはあくまで私のやり方です。一般には、素手で触ると魚の体の表面の粘膜を傷めやすいと言われています。手で入れる場合は、手を水槽の水で十分に濡らして冷やし、短い時間で終わらせてください。迷う人は、網やカップを使うほうが安全です。

3. 餌は少なめに

魚が元気だとついつい餌をやりすぎてしまいますが、食べ残しは水を汚す原因になります。一般的な目安は2〜3分で食べきる量で、私は5分以内に食べきる量にしています。餌は小麦粉の少ないものを選んでいます。

おまけ: 魚を選ぶとき

聞ける状況なら、いつ入荷した魚なのかを店員さんに聞いてみてください。私は面倒なので聞かずに魚の状態を見て決めていますが、入荷したての魚をそのまま自分の水槽に入れると、魚の負担はかなり大きくなります。入荷のときにショップの水槽で水合わせをして、またすぐ自分の水槽でも水合わせをすることになり、短い間に何度も環境が変わってしまうからです。入荷から少し日がたって、ショップの水槽で落ち着いた魚のほうが、安心して迎えられます。

よくある質問

水槽の大きさは、どれが始めやすいですか。

できるだけ大きいものが簡単です。水の量が多いほど水温も水質も変わりにくく、多少の失敗があっても魚が弱りにくいので、小さい水槽のほうがむしろ難しいです。

ヒーターは、いつから必要ですか。

魚は気温や水温の急な変化に敏感なので、できれば9月のはじめごろから入れておくと安心です。スイッチが入らない間は電気代がかからないので、早めに準備しても損はありません。冬が近づくと季節商品として値段が上がる傾向があるので、早めに買うほうが安く済みやすいです。